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それぞれの禁煙エレジー

探偵ハリーの半分ハードボイルドな日常
TOP探偵ハリーの半分ハードボイルドな日常

青

俺の名はハリー。探偵。ハードボイルドが似合う男...

部屋の中に静かに立ち上るタバコの煙...

立ち上る煙を見ながら、俺は、瞑想というか、一種のトランス状態になっていた。

タバコを吸う事でも瞑想はできる、と言ったのは、確かインドのOSHOだったか。何と言ったのか正確には覚えていないが、偉い坊さんが喫煙を認めるような発言をしたので、そのことだけは覚えている。

タバコの煙っていうのは、単純に白じゃなくて、少し青みがかっている。タバコが嫌いな人も、純粋に「色」という観点から見れば、美しいと思えるはずだ。
青白く、それでいて光沢があるようなあの感じは、他には見当たらない。

が、人の体の中を通して吐き出されると、あの青い色はなくなって、ただの白い煙になる。

あの青い部分は、体の中に残るわけだから、タバコを吸う人たちは、いつかあの美しい青い色で輝きだすのかと思いきや、残念ながらそうはならない。
禁煙プログラムや、病院なんかにいくと良くお目にかかる、例の、肺が茶色になった写真だ。あんなに青い色を取り込んでいるのに、なぜか赤茶色の毒々しい色になってしまう。

あの、輝くような美しい「青」はどこへ行ってしまうのだろう...

一人、事務所のデスクでタバコをくゆらせながら、そういえば光の三原色ってあったなぁと思い出した。
...あれ、何色だったかな。

俺の名はハリー。探偵。ハードボイルドが似合う男...

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